◇ 全米販業務部が令和5年産検査証明アンケート①4年ぶり格付「妥当でない」事例登場

 全米販業務部は2月5日、「令和5年産米の検査証明の内容等に関するアンケート」集計結果を明らかにした。それによると、高温障害による歩留り低下が顕著だっただけに関心が高かったのか、回答数が増加。4年ぶりに格付が「妥当でない」事例が登場した。また令和元年産から令和3年産の間は皆無だった異品種混入事例が、令和4年産、令和5年産と2年連続で登場している。

 調査は、昨年11月29日~12月11日に実施したもの。回答数は67組合員(前年49組合員)で、うち検査員有資格者は26(前年15)。延べ有資格者数は198人(前年121人)。

 検査証明欄の不備(複数回答可)は、延べ割合(回答数を回答数合計で除)でみて、総体に横這いだった。
登録検査機関、検査年月日、検査員認印の漏れ 20.9%←21.4%
年産表示の漏れ 20.9%←20.1%
種類表示の漏れ 13.6%←14.5%
銘柄表示の漏れ 18.3%←17.0%
等級印の漏れ 26.2%←27.0%
 「その他」の主な不備事項の内訳は、△検査年月日の印が正しく押されていない(一部欠けていて日付が読み取れない等)、△フレコン証明書の添付漏れ、△JA米印漏れ、生産者名漏れ、△検査証明書なし年1~2回あり、△特栽ガイドライン貼付け無し、△県産漏れ、△飼料用玄米→水稲うるち玄米と記載間違い――など。

 銘柄検査の証明結果で「証明された品種と異なる品種の混入はなかった」割合56.7%(前年54.0%)こそ若干良化したものの、「異品種の混入があった」回答が2件あがった。根拠は、「外部のDNA鑑定」もの。「あった」との回答がゼロでなかったのは2年連続。それ以前、令和元年産から令和3年産の間は皆無だった。

 品位検査における格付結果で総体の回答数が増えているのは、そもそも母数が増えているためだとしても、4年ぶりに格付が「妥当でない」事例が登場した点は、まさしく作柄の悪さが表れた結果と言える。回答割合で見ると分かりやすい。
総体的にみて妥当 20.9%←20.0%
総体的にみて概ね妥当だが一部に妥当でないものがある 65.7%←68.0%
総体的にみて妥当でない 6.0%←0.0%
どちらともいえない 7.5%←10.0%

 「妥当でない」理由(複数回答可)は、延べ割合にして以下の順になる。
心白・腹白の混入が多い 26.4%←32.3%
整粒割合が等級の規格値を下回っている 25.5%←24.6%
着色粒が等級の規格値を上回って混入している 20.0%←16.9%
形質(充実度)が標準品より劣る 19.1%←10.8%
異物(異種穀粒(籾等))が混入 9.1%←15.4%
 「典型的な高温障害の産年」の特徴が顕著に表れていると言える。「その他」(具体的な事由)の内訳は、△今年の米は猛暑の影響で全体的に、心白・腹白・背白が多く見受けられる。その中で多少検査が甘くなっているかな……と思うことがある。格付けが「妥当でない」と思う部分は多々あるが、致し方ないかな……と思うところもある。△年産ごと基準が違う。一度等級を定められたものは覆せない。△胴割粒(かくれ)が多く、精米時の歩留まりが悪い。――など。

〈続〉