◇「令和6年能登半島地震」を激甚災害に指定、農水省「災害査定の効率化」適用

 政府は1月11日の閣議で、「令和6年能登半島地震」を激甚災害に指定した。これを受けて農林水産省は同日、「令和6年能登半島地震」に対し、「大規模災害時の災害査定の効率化」適用を決めた。

 激甚災害の指定には、局地的な災害によって大きな復旧費用が必要となった「市町村」を指定する場合(局地激甚災害)と、全国的に大きな被害が発生した「災害」を指定する場合とがあって「激甚災害」は後者(通称〝本激〟)。今回の指定により、以下を措置する。
 △公共土木施設災害復旧事業等の特別財政援助=公共土木施設の場合、過去5か年平均で70%の国庫補助率を83%に嵩上げ。
 △農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置=農地の場合、過去5か年平均で85%の国庫補助率を96%に嵩上げ。
 △農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助特例=暫定法に基づく通常20%の国庫補助率を最高90%に嵩上げ。

 「災害査定の効率化」は、①机上査定(本来は現地調査が必要な災害査定を、書類のみで査定する)の上限額を引き上げ、②採択保留(事業費の決定見込額が一定以上になった場合に、採択を地方出先機関ではなく本省で行う)の上限額を引き上げるもの。例えば机上査定の上限額が「500万円未満」の場合、査定見込み件数の概ね7割(農地・農業用施設は9割)までの額を適用できる。採択保留の上限額が「2億円以上」の場合、2億円を超え採択保留された件数の概ね6割までの額を適用できる。さらに③査定設計書に添付する図面などを簡素化(設計図書の作成の際、航空写真や代表断面図などを活用する)。
 対象地域は、「農林水産省に対する被害報告における被災箇所数が、過去5か年の平均被災箇所数を超えた区域」で、具体的には1月10日時点で以下の通り。
〈農業用施設〉新潟、富山、石川、福井
〈農業協同利用施設〉新潟、富山、石川
(ほかに林道、水産業共同利用施設、海岸、漁港など)

 なお農水省が1月11日午後3時現在で公表した農林水産関係被害状況のうち、農作物などの被害は以下の通り。現段階では被害額が判明していない。

〈長野〉△農地2か所、農業用施設2か所の被害
〈石川〉△農地9か所、農業用施設184か所の被害
〈新潟〉△農作業小屋41棟倒壊 △農作業所2棟壁崩れ・柱の傾き △ポンプ小屋が液状化による沈下 △カントリーエレベーター7か所で、乾燥設備等損傷・サイロ下陥没・敷地内アスファルト隆起など △単協の農業倉庫(ラック倉庫含む)など16か所で、外壁ひび割れ・大型シャッター破損・ガラス破損など △育苗施設3か所で、育苗設備など損傷 △加工処理施設など(餅工場、精米施設など)3か所で、水道管・内壁等損傷 △資材庫で建屋傾斜 △農業法人所有のライスセンターの籾タンクの破損など △農業法人所有の米倉庫で床の隆起 △単協の米倉庫23棟で荷崩れ・一部破袋 △農業法人の米・大豆倉庫3棟で荷崩れ・一部破袋 △乾燥調製施設で米搬送パイプ損傷(復旧済み) △農地7か所、農業用施設など111か所の被害
〈富山〉△カントリーエレベーター10か所で施設基礎ズレなど △ライスターミナルでラック倉庫内部に被害 △育苗センター2か所で外壁・内壁亀裂・オーバースライダーの損傷など △燻炭施設で籾殻搬送ダクト亀裂 △農業用倉庫28施設で外壁亀裂など △農地28か所、農業用施設など128か所の被害
〈福井〉△農地11か所、農業用施設42か所の被害
〈岐阜〉△農地1か所、農業用施設1か所の被害