◇ 全米販総会②来賓挨拶/農林水産省・平形雄策農産局長

 全米販総会で、来賓として出席した農林水産省の平形雄策農産局長は、以下の通り挨拶した。

 全国米穀販売事業共済協同組合の通常総会、開催にあたりまして、祝辞を述べさせていただきます。木村理事長をはじめ、役員の皆さま方、そして会員企業の皆さま方の、特に主食であります米の安定供給に日々、努めていただきまして、政府を代表して皆さまにお礼の言葉を申し上げさせていただきます。

 今、木村理事長のお話をお伺いしながら、令和2年からここまでは、大変な時期であったなというふうにつくづく思い返したところです。もともと令和2年の前頃から、お米の値段が若干良かったこともありまして、少し過剰な作付が進められたのですが、在庫が高い状態になり、なかなか高い割に販売が進まない、という難しい時期を迎えたなか、コロナの発生を迎えてしまいました。特に外食・中食で長い低迷が続きました。そうしたなか、令和3年、4年と、生産の側も史上最大に近い作付転換を進めていただきまして、ようやく6月末の在庫が、去年の219万tから今年は200万tを少し切る状態を伺えるくらいになっておりますし、今年しっかりやれば、来年にはもう少し通常の状態に戻ってくる、そうした見通しが立つようにもなってまいりました。
 ただ、この間、販売先もどんどん変わってきますし、売り方も相当変わってくると思います。ここ1年間だけを見ても、家庭用から業務用、外食向けの需要もかなり変わってきております。全米販の皆さま方は、日々、そうした事業者さんとの販売、お付き合いのなかで、それを肌で感じられておられると思いますが、非常に難しい操作をずっとやってきていただいているんだなと思っております。

 また、お米は、国内ではある程度、昨年より安定した状態になってきつつありますが、それ以外の作物は、国際的に非常に価格が高騰してきました。お米が変わらなくても、他のものがどんどん上がってきます。物流費もそうですし、人件費もそうですし、光熱費もそうです。そうした中で、全米販の木村理事長は、3回ほど価格転嫁の必要性について、メッセージをいただいております。それぞれ、諸元を明らかにして、これくらい上がっているんだということを、アピールしていただいた。国民の方々、消費者の方々に、今どういう状態になっているのかを知らせる――個社が知らせるのはとても難しいことです。それを業界を代表して、このように伝えられたことは、まさに私は、業界団体のあるべき行為、ミッションそのものだと思っております。
 全米販さんがこのようなことをされたということを、私のところにいらっしゃる他の業界の方々に、何度となく申し上げさせていただきました。個々の事業者さんはそれぞれ競争していただくことになるのですが、業界全体としての、統一的に「こうだ」ということを言っていただくことも、業界団体としての最も大きな務めだと思っている次第です。

 それから、インバウンドです。今年の4月というと、まだ5類になる前でしたが、海外から日本へ訪日された方の数は、195万人でした。コロナが発生する前、2019年4月は293万人でした。ちょうど3分の2です。昨年の4月に比べると約10倍以上になっています。一昨年の4月に比べれば200倍です。さらにその前の2020年4月と比べてみますと、600倍になっています。それくらいの方が、日本に来られているわけです。そうしたことも捉えながら、お米を売り切っていただくことを、是非お願いしたいと思っております。
 基本法の見直しにあたり、理事長からいくつかご提案なり、ご意見なりをいただきました。確かに需要があっての生産ですから、どういう需要を作っていくかが一番重要な部分です。ただ、国がこうするからといって需要が追いついてくるほど生易しいものではないというのも、重々承知しております。というわけで、日本で自給が維持、しかも様々な品種が出てきている、このお米を、活かさない手はないと、強く思っているところです。そのために今まで通りの作り方、売り方ではなく、可能性があるものについては、徹底的に市場を追求していただきたいと思っております。皆さま方に、しっかり市場を開拓していただくこと、農水省はもちろん後押しをさせていただきますが、それが日本の農業を守り、国土を守ることに繋がると、強く思っている次第です。

 本日の総会にあたり、全国米穀販売事業共済協同組合のご発展、会員各社の皆さまのご繁栄を祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございました。