農林水産省と経済産業省は3月15日付官報告示で、㈱堂島取引所から米穀指数取引市場の開設申請があった旨を公示した。同日から審査期間が始まったことになる。このため認可・不認可の判断は、早ければ6月17日(月)、遅くとも7月12日(金)までに下ることになる。審査期間は「3か月以内に認可してはならず」、「審査期間が4か月を超えてはならない」との明確な規定があるため。あくまで認可されればだが、㈱堂島取引所(大阪府大阪市、村田雅志社長)では8月13日(火)からの取引開始を目論んでいる模様だ。ただし今回申請したのは最終的に現物決済を伴う、いわゆる商品先物ではなく、「米穀指数取引」。したがって約2年前まで試験上場を繰り返していたコメ先物取引とは全く別の商品になる。
観戦記 6月16日より前かも…?
○ 上記の審査期間は明確な規定があるのだが、過去一度だけ、農林水産省自らこの規定を逸脱したことがある。平成18年(2006)、コメ先物に「不認可」の判断が下されたときだ。
○ このとき、東京穀物商品取引所(現在の㈱東京商品取引所)と関西商品取引所(現在の㈱堂島取引所)の申請が公示されたのは、前年・平成17年(2005)12月12日付の官報告示。したがって早くとも平成18年の3月29日にならなければ判断を明らかにしてはならないはずだったが――中川昭一農相(当時)が「不認可」の判断を明らかにしたのは、前日の3月28日のことだった。
○ 明らかなフライングなのだが、当時の農水省の説明が秀逸だった。「商品取引所法(現在の商品取引法)に基づけば、(3月28日以前は)『認可を明らかにしてはならない』のであって、〝不認可〟の意思を表明してはならないわけではない」。もはや禅問答のようだったが、このときは後の祭りだった。
○ 後に、不認可判断を下した中心人物が漏らしたところによると、裏の事情はこうだ。「当時、3月29日は食糧部会で先物が論議されるはずだった。しかし先物の認可・不認可にあたっては、別に審議会に諮る必要などない。にもかかわらず食糧部会の議題にのぼっていた。ある種の反発から、前日ちょうど定例会見の日でもあったので、大臣に表明していただいた」
○ あれから18年。これが「前例」となってしまったから、今回も仮に「不認可」となる場合、6月17日よりも前の発表だって、ないとは言えない……。