◇ 令和6年産主食用米の生産数量目安は672万t、10月指針+3万tも依然低水準

 1月25日の徳島公表をもって、令和6年産主食用米の生産数量目安(旧・生産数量目標)が出揃った。本紙で47都道府県の目安を単純合算したところ、約672万t(671万8千t)と弾き出すことが出来た。前年産の生産量実績に比べれば+10万8千t(+1.6%)だが、ほぼ前年産目安並みの水準。いわゆる10月指針、つまり基本指針(米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針)の変更(昨年10月)による需給見通しからすれば、3万t弱上回る水準にあたる。したがって、これをそのまま当てはめても来年6月末在庫は178万t。依然として低水準であることに変わりはない。今後は、目安通りに作付けるか否かに焦点が移ることになり、その後は例年通り作柄次第だ。

 下表は、本紙で取材した令和6年産主食用米の生産数量目安の47都道府県別総括表。このうち生産量目安を設定しない東京、神奈川、大阪、島根には、便宜的に令和5年産の実生産量、実作付面積を当てている。また生産数量目安を設定せず、作付面積目安のみ設定する福島、石川、京都、熊本、大分には、便宜的に令和5年産の平年単収を乗じた生産数量目安を当てた。逆に生産数量目安のみを設定し、面積換算を設定しない愛知、三重、鳥取は、便宜的に令和5年産の平年単収で除した面積換算値を当てている。
 以上を踏まえた上で、令和6年産主食用米の生産数量目安を47都道府県すべてで単純合算すると、671万8,027tとなる。前年産の実績比で+10万8,027t(+1.6%)、前年産の目安比で▲2,131t(▲0.032%)の水準。面積換算では、126万3,900haで、前年産の実績比で+2万1,900ha(+1.8%)、前年産の目安比で▲1,072ha(▲0.1%)となった。

 各県ごと生産数量目安を算出する手法は様々だが、「全国見通しを自県シェアで按分」する方式が一般的。最初から意図的に「前年産目安を据え置き」とした県も含めて、結果的には「前年産目安と同水準」に至った県が大宗を占めた。
 この算出手法がどういったものかは別にして、結果的に前年産目安を比較的大幅に上回ったのは、北海道(+1万7,298t)、秋田(+2,600t)、福島(+6,384t)、三重(+2,641t)など東日本が中心となった。逆に、結果的に前年産目安を比較的大幅に下回ったのは、愛知(▲2,606t)、香川(▲3,472t)、熊本(▲1万5,462t)、大分(▲3,325t)、鹿児島(▲8,940t)など、こちらは西日本が中心。
 もともと生産量が多い新潟は、「前年産目安と同水準」を標榜しており、事実+600tでしかないのだが、そもそも前年産の生産目安が高めだったに過ぎない。それが証拠に、令和5年産が不作気味だったこともあって、前年産の生産実績と比較すると、実に+3万1,900tとなる。
 令和5年産が不作気味だった点では西日本も同様で、目安こそ結果的に前年産並みが中心だが、生産実績比では1万t超の幅で軒並みプラスが並ぶ結果となった。