◇ 能登半島地震被害続報、農業施設被害は石川、米穀施設被害は新潟に集中

 農林水産省は、1月5日午後4時15分現在で「令和6年能登半島地震」の農林水産関係被害状況を公表した。このうち農作物などの被害は以下の通りで、現段階では被害額が判明していない。

〈長野〉△農業用施設2か所の被害
〈石川〉△農業用施設41か所の被害
〈新潟〉△農業用施設8か所の被害 △農作業小屋2棟倒壊 △農作業所の壁崩れ・柱の傾き △共同利用施設、カントリーエレベーターでシャッターの破損 △農業法人所有のライスセンターの籾タンクの破損 △農業法人所有の米倉庫で床の隆起 △単協の米倉庫でガラス破損(1棟)、建物のヒビ割れ(3棟) △単協のラック米倉庫で機械稼働不可 △単協の餅工場で水道管破裂 △単協の精米所で壁の破損
〈富山〉△農地11か所、農業用施設29か所の被害
〈福井〉△農地4か所、農業用施設12か所の被害
〈岐阜〉△農地1か所、農業用施設1か所の被害

 全米販組合員の被災状況は既報の通りで、組合員以外では、中橋商事㈱(石川県羽咋郡宝達志水町、中橋裕幸社長)の「米袋の散乱、一部屋根の崩落、断水」を確認している。

 また農林水産省、消費者庁、厚生労働省は1月3日、連名で「食品表示法の弾力的運用」を通知した。被災地に供給される食品には「必ずしも食品表示基準に基づく義務表示事項の全てが表示されていなくても差し支えない」旨を伝えたもの。ただし健康被害に繋がる可能性のあるアレルギー表示と消費期限だけは例外で、従来通り食品表示法の遵守を求めている。
 日本公庫(日本政策金融公庫、東京都千代田区、田中一穂総裁)は1月4日付で、新潟、富山、石川、福井の全10支店に、中小企業を対象とした特別相談窓口を設置。米穀機構(《公社》米穀安定供給確保支援機構、福田晋理事長)は1月5日、被災地に無償で包装米飯やおむすびを提供する会員企業に対し助成金を交付する「被災地緊急支援活動助成事業」の案内を提示した。
 その被災地支援も始まっており、アイリスオーヤマ㈱(宮城県仙台市、大山晃弘社長)による1月3日の公表によると、(公社)日本青年会議所の災害対策本部を通じ、角田工場からミネラルウォーター1,440本、使い捨てカイロ1万1,520枚、ブルーシート100枚、簡易トイレ48個を提供している。またサトウ食品㈱(新潟県新潟市、佐藤元社長)による1月5日の公表によると、1月2日午後10時、パックごはん3万食を供給した。

 「令和6年能登半島地震」は、1月1日午後4時10分、石川県能登地方を震源に発生。地震の規模を示すマグニチュードは7.6(暫定値)で、震源の深さは16㎞、志賀町で最大震度7を記録した。以降、断続的に震度5~6級の余震が現在も続いており、津波による被害も確認されている。内閣府・非常災害対策本部の発表によると、1月4日午前7時現在で人的被害は死者73人、重軽傷者251人、住宅被害は合計680件にのぼっている。