㈱神明(東京都中央区、藤尾益雄社長)は10月4日、創薬ベンチャー㈱SENTAN Pharma(福岡県福岡市、松原正東会長、永井朋子社長)との資本業務提携を発表した。提携契約の締結は9月1日付。神明にとっては、ヘルスケア事業への参入にあたる。同日、兵庫県神戸市の神明ホールディングス本社内で開いた会見で明らかにしたもので、提携によってまず神明は、SENTAN Pharmaが開発した健康食品「玄米フーディクル」の販売を担う。
SENTAN Pharmaは平成19年(2007)設立の創薬ベンチャーで、強みは独自の「ナノ・マイクロ粒子化」技術。物質をナノサイズ(1㎜の100万分の1)にすることで、身体への吸収力を格段に向上させる技術のこと。しかも同社の独自技術の特徴は、高い吸収性を維持したまま、低コスト・大量生産を実現できる点にある。
この技術によって有用な機能性成分「ガンマオリザノール」を含む玄米胚芽抽出エキスを顆粒状にしたのが、健康食品「玄米フーディクル」だ。近年、「ガンマオリザノール」は機能性成分として注目を集めているにもかかわらず、玄米のままでは食べても食べてもほとんど吸収されない。「玄米フーディクル」は、「ガンマオリザノール」をナノ粒子化することで飛躍的に吸収性を高めた。1包(2g)で玄米ごはん3杯分(420g)の「ガンマオリザノール」を摂取できる。1箱(1か月分)5,800円。「フーティクル」はFOOD(食物)とPARTICLE(粒)を組み合わせたSENTAN Pharmaの造語で、商標登録済み。
「ガンマオリザノール」の効能は、琉球大学の益崎裕章教授との共同研究によって、①血糖値、中性脂肪、体重の減少、②腸内フローラの改善、③アルコール依存症の予防・改善――が確認されており、ここまでは特許取得済み。さらに④軽度認知症の予防・改善は、特許申請中。
今回の提携によって神明は、「玄米フーディクル」をはじめとしたSENTAN Pharma商品の販売代理店的な役割を担うことになる。会見で神明側の担当である鈴木章人取締役は、「『玄米フーディクル』の年間売上高は現在およそ2,500万円。まず1年以内に10倍にするのが当面の目標。ただし『ガンマオリザノール』自体の認知度が低く、高価な商品でもあるので、一般販売ではなく、ある程度の富裕層や医療関係者を対象にした売り方になっていくと思う。いまプロのマーケッターと組んで、具体的な販売戦略を検討しているところ。2~3年後には数億円規模の売上にしたい」と説明した。また「米、特に玄米に含まれる栄養素は、他にもまだまだ色々ある。SENTAN Pharmaには、これらを随時商品化していただければ」と将来構想を語った上で、「今すでに『玄米フーディクル』のプレミアム版を開発中。徐々にラインナップを強化していければ」とも。