◇ 全米販総会②来賓挨拶/農林水産省・松本平農産政策部長

 全米販総会で、来賓として出席した農林水産省の松本平農産局農産政策部長は、以下の通り挨拶した。

 木村理事長はじめ全米販の皆様方におかれましては、我が国農林水産行政に対しまして、日頃より多大なるご理解、ご協力を賜りましておりますことを改めまして御礼申し上げます。我が国の主食であります米の安定供給について、消費者の方々、実需の方々に安定的な供給を行っておられること、この大きな役職を担われていることに対しまして、改めて敬意を表しますとともに、御礼を申し上げたいと思っております。

 私、昨年もこの会に参上させていただいたわけですが、それから1年。我が省の関係で少し動きがございましたので報告させていただきます。
 農林水産省は平成11年(1999)、それまでの農業基本法を廃止し、食料・農業・農村基本法を新たに制定したところでございます。それから約25年が経ち、初めての改正作業を昨年から今年にかけて行いました。つまり、平成11年はガット・ウルグアイラウンドの結着がだいたい見えてきたところで、それに対して我が国の農業がどのような対応をしていくのかを定めたものでございます。それ以降、例えばTPPや 日EU・EPAといった国際環境の枠組みも変わってきました。BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫といった、違う意味での「国際化」の進展も出てきました。また日本の経済自体も、いわゆる「買い負け」をするといった国際競争の新たな環境下に置かれています。近年で申しますと、新型インフルエンザも含めた疾病、地政学的なリスク、このような状況を踏まえまして、今般、改正を25年ぶりに行ったところでございます。

 内容は、基本理念に 食料安全保障を位置づけまして、日頃から国民一人ひとりに安定的に食料を供給する責務を明確にしたところでございます。この改正法案は、5月29日に可決、成立をし、6月5日に公布・施行したところでございます。基本法は、基本的な考え方を明らかにすることが大きな役割でして、具現化、実現化していくには大きな2つの取組みをやらなければなりません。
 法律に基づいて位置づけられたものを、より落とし込んでいく作業。これを関連法案と申しますが、先般、衆議院を通過しまして、先週から参議院で質疑を行っているところでございます。関連法律は3つございます。食料の緊急事態に対してどのように対応していくのか、を定めた新たな法律。もう1つは農地の総量をいかに確保していくのか、また、より農業と親和性の高い食品関係の事業者の方の参加を可能にしていこうという制度改正。3つ目が、農業者の方々は今後、どうしても減っていくなかで、スマート農業をどう促進していくのかという法律。要するに、基本法の具体化を進めております。

 もう1点は、基本法に定められております、5年間なり10年間なりのスパンで、どのような方向性に持っていくのかという「基本計画」が位置づけられています。この改定作業も近々始めることになっており、来年の3月に向けて様々な検討を行っていきます。

 このなかで、水田政策の検討も深めていく予定でございます。このような基本法関係の作業を加えつつでございますが、足元の米の需給関係につきまして、先ほど木村理事長からもございました、昨夏の高温、また渇水の影響を受けまして、北陸を中心に少し作柄に影響が出たところでございます。一部銘柄につきまして不足感が出ているというような報道などもあります。しかしながら全体の需給を見回しますと、例えば年間の需要量に対しての在庫を、いわゆる在庫率で見ますとコロナ前の水準、だいたい令和元年あたりと変わらない水準でございますので、全体の水準は通常通りであるというのが我々の認識でございます。こういうものにつきましても、正確な情報発信を進めてまいりたいと思っているところでございます。

 いずれにしましても、短期間で物事を見るのではなくて、我々は基本計画の作業に入るところでございますので、5年後、10年後、我々の水田政策の方向性についても、幅広くご意見を伺いながら検討を進めていきたいと思ってるところでございます。最後になりますが、全米販各組合員の皆様方のますますのご健勝、ご発展を祈念いたしまして、簡単でございますが、私からの挨拶をいたします。本日は誠におめでとうございます。