◇ 全米販「米穀流通2040ビジョン」公表、「最悪の予想図」と「魅力的な米穀流通の姿」描く

 全米販(全国米穀販売事業共済協同組合、山﨑元裕理事長)は6月12日、「米穀流通2040ビジョン」を公表した。
 約20年後を見据えたもので、農林水産省が一昨年12月9日の食料・農業・農村政策審議会 第5回基本法検証部会に提出した資料が端緒。このなかで令和2年(2020)704万tの主食用米需要量が、20年後の令和22年(2040)には493万tにまで減少すると試算している。「需要量が500万tを下回る2040年の米穀流通とは、どのような状態か。それは容認できる姿か否か。容認しがたい場合には対策を講じる必要があるので、判断の手助けとして未来予想図/ビジョンを創ることにした」。㈱日本総合研究所とタッグを組み、昨年7月から検討を開始。全米販組合員会社の若手社員によるワーキンググループも参画し、各方面へのヒアリングなども交えて、検討を深めてきた。
 完成した「米穀流通2040ビジョン」は、現状を看過した場合に予想される最悪の予想図である「現実的シナリオ」と、魅力的な米穀流通の姿を想い描いた「野心的シナリオ」との、二本立てで構成している。
 ○ 現実的シナリオ……2040年の国内需要量375万t(2020年比▲41%)、生産量363万t(同▲50%) ※ 2030年代には国内需要量を国産だけでは賄いきれなくなる可能性があり、2040年の米穀流通は営業赤字に転落。
 ○ 野心的シナリオ……①需要拡大(多角的な米需要の創出や輸出などによる市場の育成と拡大)、②生産支援(担い手の確保、出口の開拓、効率化支援など)、③流通改革(持続可能な価格形成、水平/垂直方向連携など関係者の役割再定義など)といった「打ち手」を実現することで、2040年の米国内需要量722万t(2020年比+13.4%)、米穀市場規模5.97兆円(同+18.0%)を〝想像〟。
 「野心的シナリオが描く情景は、米穀流通業界が魅力的な産業となるばかりか、国内食料安全保障の強化、米食文化の継承・普及・開拓、ひいては世界人口増加に伴う食料供給による国際貢献などの社会貢献を果たしていく」としている。