◇ パックご飯の販売先「ほとんどが家庭向け」

 米穀機構「パックご飯の生産・販売・購入状況」の続報。パックご飯の販売先は、ほとんどが家庭向けで、業務用向けの販売はごく一部に限られていることが分かった。回答5社のうち、2社は家庭向け販売100%、他の2社は同じく99%。1社のみが家庭向けが約8割、業務用向けに約2割販売している。

【直近の販売数量】
 回答6社の販売数量は合計およそ11万t。令和4年(2022)の全体生産量(21万3千t)の約半数を占めている。前年に比べ、すべての事業者で伸長しているが、総じて販売数量の少ない事業の伸びが大きい傾向にある。なお前年比+800%超の事業者は、新規参入事業者となっている。

【販売先の国内外の割合】
 回答6社とも国内99%以上、海外1%未満だった。うち1社は海外販売を行っておらず、「輸送コストや価格競争を考慮すると、当面は拡大を続ける国内市場に集中していく方針」としている。また海外販売は、出荷後に食品卸売会社や貿易商社を経由して輸出されるケースもあることから、「各社が把握していない海外販売事例もある」という。
 現段階では、各社とも国内向けの供給を優先。海外輸出への取組みは「始まったばかり」と見ており、今後、「生産能力の拡大に伴って輸出が本格化していく可能性がある」との考えを示している。

【ここ10年来の市場拡大要因】
 近年のパックご飯市場の拡大要因を訊いたところ、「簡便性の高さ」が23.1%と最も多かった(複数回答)。各社いずれも電子レンジ2分で炊き立てのごはんができあがる点を、「最大の強み」と捉えているという。続いて「保存性の高さ」「防災意識の高まり」「単独世帯の増加」「家庭内の個食増加」(同率15.4%)が並び、災害やパンデミック、社会構造の変化などを拡大要因としてあげている。

【今後の成長性や市場規模】
 「拡大する」3社、「やや拡大する」3社と、6社いずれも今後もパックご飯市場が拡大すると捉えている。

【近年の製品値上げや物価上昇の影響】
 「影響がある」4社、「影響がない」2社。影響がないと回答した事業者から「値上げ後も販売数量が全く落ちていない」との意見があがった。

【海外市場の拡大要因】
 要因として最もあげられたのが、「日本食ブーム」「おいしいご飯が簡単に食べられる」(同率33.3%)だった(複数回答)。世界中で広がる日本食ブームや、インバウンドによって、「特に東南アジア圏でパックご飯市場の拡大が見られる」としている。ほかにも、「メーカー各社の生産能力の向上による、生産余力の増大」を要因とする意見もあがった。

【海外市場の成長性や市場規模】
 「拡大する」4社、「やや拡大する」2社と、国内市場同様、6社いずれも拡大すると捉えている。

〈この項、了〉