◇ 紅麹事件続報、機能性表示食品の健康被害提供など義務づけへ

 小林製薬㈱(大阪府大阪市、小林章浩社長)による紅麹事件の続報。政府は5月31日、官邸で2回目の「紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合」を開き、「紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応」で合意した。それによると、健康被害情報の提供と(サプリメント形状の機能性表示食品に限った)GMP(適正製造規範)に基づく製造・品質管理を法令に義務づけ、表示事項・方法を改善する。

《健康被害の情報提供の義務化》
 ○ 健康被害の情報収集と情報提供を、食品表示基準の届出事業者の遵守事項とする。これにより違反者に対する行政措置が可能となる。
 ○ 食品衛生法でも健康被害情報の提供を義務づけ、違反者に対する営業停止・禁止などの行政措置を可能とする。

《機能性表示食品制度の信頼性を高めるための措置》
 ○ サプリメント形状の機能性表示食品を対象に、GMP(適正製造規範)に基づく製造・品質管理を食品表示基準の届出事業者の遵守事項とする。これにより自主点検と、消費者庁による立入検査が可能となる。
 ○ 以下の通り、表示の方法や表示位置などの方式を見直す。「機能性表示食品がトクホ(特定保健用食品)と異なり、安全性・機能性について国による評価を受けた食品ではない」旨、「医薬品とは異なり、疾病の治療、予防を目的としたものではない」旨、摂取上の注意事項として、「医薬品などとの相互作用や過剰摂取防止のための注意喚起」を具体的に記載する。

《情報提供のDX化、消費者教育の強化》
 ○ 食品衛生申請などシステムを改修し、届出者が健康被害の情報提供を速やかに行うことができるシステムを構築。行政側が類似事例を迅速に集計・分析できるようにする。
 ○ 販売中の機能性表示食品に関する安全性や機能性に関する科学的根拠などの情報が消費者目線で使いやすくかつ分かりやすく提供されるよう、消費者庁ウェブサイトのDX化など対応を強化。
 ○ 機能性表示食品など摂取に際して、医薬品との相互作用や過剰摂取などリスクに関するリスクコミュニケーションを進める。また機能性表示食品を正しく理解し、健康の増進維持のために活用することができるよう、消費者教育を強化。

 〈健康被害状況〉厚生労働省による5月29日現在の公表によると、医療機関を受診した者は延べ1,614人(+7人)、入院者数は延べ284人(+3人)となった。また小林製薬㈱への相談件数は延べ約13万件(+2千件)、厚労省のコールセンターへの相談件数は延べ5,178件(+35件)となっている。

〈自主回収(リコール)〉5月31日午後9時現在で、厚生労働省の専用サイトの「紅麹に関する届出された食品のリコール情報(小林製薬関連に限る)」に追加掲載されたのは、以下の1社。これで累計ちょうど100社に達した。⇒國民製薬㈱