◇ 紅麹事件続報、理解促進へ表示と消費者教育の2輪で、表示禁止事項も

 小林製薬㈱(大阪府大阪市、小林章浩社長)による紅麹事件の続報。消費者庁は5月21日、新設した「機能性表示食品を巡る検討会」の第5回会合を開いた。このなかで、機能性表示食品と医薬品やトクホ(特定保健用食品)との違いの消費者理解促進にあたって、いわゆる消費者教育とパッケージへの表示の2輪で進めることで一致。トクホと誤認させるような表示を防ぐため、「何らかの禁止事項が必要だと提言する」と、中川丈久座長(神戸大学教授)が括っている。

 検討会では、5月23日に予定されている次回・第6回会合でとりまとめる予定の「今後の方向性」のなかで、厳格なガイドラインを設けることが決まっており、今回の論議の対象となったのは「消費者への情報伝達のあり方」。

 ヒアリング対象者から、「トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品、その他の健康食品、医薬品(医薬部外品含む)の違いに対して、一般消費者の認知度が低い」との指摘があがった。
 これを受けて、パッケージへの表示が論点にあがったものの、全てを表示できるわけではないことから、「表示と、その前提となる消費者教育との、2輪で進める必要がある」点で一致。
 この消費者教育のなかで、機能性表示食品と、医薬品をはじめとした他の制度食品との違いなど理解促進に努める。一方でパッケージの表示では、「医薬品ではない」「トクホではない」「機能性表示食品である」「届出番号」「安全性(注意喚起)」などを「しっかり明示すべき」との点で一致した。
 パッケージに表示しきれない情報をQRコードで示してはどうかとの声があがったものの、「アクセスできない人もいる」、「QRコードを付けたことで、ある種の免罪符のようになってしまわないようにすることも必要」との指摘もあり、「現時点では『義務』ではなく、『推奨』としてはどうか」と、中川座長がまとめている。
 また機能性表示食品のなかには、「トクホより強い表現が目立つ気がする」、「やや届出から逸脱しているような表現もある」との指摘が複数あがり、トクホと誤認させるような表示を防ぐため、「何らかの禁止事項が必要だと提言する」と、中川座長が括っている。

 第5回会合に提出された第1回(4/19)、第2回(4/24)、第3回(5/8)、第4回(5/10)の「議事概要」は以下の通り。

 〈健康被害状況〉厚生労働省による5月20日現在の公表によると、医療機関を受診した者は延べ1,595人(+13人)、入院者数は延べ276人(+1人)となった。また小林製薬㈱への相談件数は延べ約12万2千件(+4千件)、厚労省のコールセンターへの相談件数は延べ5,050件(+39件)となっている。

 〈自主回収(リコール)〉5月21日午後5時現在で、厚生労働省の専用サイトの「紅麹に関する届出された食品のリコール情報(小林製薬関連に限る)」に追加掲載された企業はなく、累計99社は12日間にわたって変わっていない。