小林製薬㈱(大阪府大阪市、小林章浩社長)による紅麹事件の続報。健康被害の原因の可能性がある物質(成分)として3月29日、「プベルル酸」が急浮上した。しかし因果関係の立証にはまだ時間がかかりそうで、原因物質が他にある可能性も残っている。また仮に原因物質が特定できても、発生(混入)要因が判明しなければ「意図しない風評被害」の可能性は拭えない。
〈消費者庁〉消費者庁は3月28日、以下の2社が機能性表示食品の撤回届出を提出したことを明らかにした。
△小林製薬㈱(3月26日付)=コレステヘルプ、コレステヘルプa、ナイシヘルプ+コレステロール、ナットウキナーゼさらさら粒ゴールド、いきいきヘルプ、コレステヘルプWa、コレステヘルプb、いきいきヘルプa
△㈱ZERO PLUS(3月27日付)=悪玉コレステロールを下げるのに役立つ 濃厚チーズせんべい
〈関係閣僚会合〉政府は3月29日夕、官邸で初の関係閣僚会合を開催。このなかで林芳正官房長官は、厚生労働省に対し、原因物質の特定や分析、発生原因の究明に全力をあげるよう求めた。また消費者庁、農林水産省も含め、以下の3点をめぐる考え方を、5月末を目処にとりまとめるよう指示している。
△食品による健康被害などに関する情報収集体制の見直し
△国の関与のあり方
△機能性表示食品制度のあり方
〈プベルル酸〉厚生労働省は3月29日、健康被害の原因の可能性がある物質(成分)として、「プベルル酸」の名称を明らかにした。前日・3月28日の薬事・食品衛生審議会で、小林製薬から「健康被害の訴えがあった紅麹製品のロットから検出された」と説明を受けていたもの。
厚生労働省は、「これが原因物質かどうかは現時点で分からない。他の物質の可能性も含めて、原因物質の特定を進める」としている。
「プベルル酸」は昭和初期、青カビが作る物質として発見された。しかし研究はその後あまり進まず、現代でも詳しい人が少ないという。毒性があることは分かっているが、それがどの程度かは分かっておらず、腎臓への影響も判然としない。また発生(混入)した経緯も不明なため、原因特定には時間がかかりそうだ。
〈厚生労働省〉厚生労働省は3月29日、小林製薬が直接、紅麹原料を卸している企業52社に対する自主点検の結果、「いずれの企業からも該当する結果は得られなかった」と公表した。引き続き52社から小林製薬の紅麹原料を入手している企業173社に自主点検を求めている(報告〆切り4月5日)。自主点検内容は以下の通り。
△小林製薬の3製品に使用された紅麹と同じ小林製薬社製の原材料を用いて製造され、かつ、上記と同等量以上の紅麹を1日あたりに摂取する製品
△過去3年間で医師からの当該製品による健康被害が1件以上報告された製品
〈帝国データバンク〉帝国データバンクは3月29日、小林製薬「紅麹」関連製品の流通・販売量が最大で全国3万3千社にのぼる可能性があるとの推計結果を公表した。厚生労働省が自主点検を求めた計225社を対象に、二時販売先までを調べたもの。それによると225社の一次販売先が873社、一次仕入・加工先が3,873社、二次仕入・販売先が2万8,775社判明し、直接・間接を問わず流通している可能性のある企業は最大で3万3,526社にのぼった。
〈自主回収(リコール)〉3月30日午後7時30分現在で、厚生労働省の専用サイトの「紅麹に関する届出された食品のリコール情報(小林製薬関連に限る)」に追加された掲載されたのは、以下の16社。これで累計73社に達した。⇒㈱タララボ、㈱分子生理化学研究所、㈲べにやビス、岡部弘安、キミセ醤油㈱、伊藤元夫、㈱成城石井、㈱かるなぁ、新日本ウェルネス㈱、社会福祉法人戸田わかくさ会、天野商事㈱、㈱メディアワークス・ブルーム、㈱大源味噌、プリセプト㈱、㈱もへじ、㈱セシール