アメリカ産うるち精米中粒種の調達価格(MA一般米入札における落札価格)が小幅に続落、過去3年半で最低価格を更新した。一方、タイ産うるち精米長粒種は一時過去最高値を更新したものの、その後はジリ下げた。この結果、アメリカ産とタイ産の価格差は、いきなり過去最少を更新している。
農林水産省が3月29日、令和5年度(2023)第9~11回MA一般米入札の商社別契約結果(2月契約分)を公表したもの。それによると、加重平均落札価格(tあたり)は以下の通り(カッコ内は落札商社名)。
〈第9回MA一般米入札〉(1月26日実施、2月7日契約分)
△アメリカ産うるち精米中粒種14万2,456円(伊藤忠商事㈱、JFCジャパン㈱)
△中国産うるち精米中粒種11万5,148円(木徳神糧㈱)
△タイ産うるち精米長粒種10万4,253円(伊藤忠商事㈱×2、兼松㈱)
〈第10回MA一般米入札〉(2月9日実施、2月16日契約分)
△アメリカ産うるち精米中粒種14万1,694円(兼松㈱、JFCジャパン㈱)
△タイ産うるち精米長粒種10万98円(伊藤忠商事㈱、兼松㈱×3)
〈第11回MA一般米入札〉(2月22日実施、2月28日契約分)
△アメリカ産うるち精米中粒種13万6,587円(伊藤忠商事㈱、三井物産㈱)
△タイ産うるち精米長粒種10万811円(伊藤忠商事㈱×3)
アメリカ産うるち精米中粒種は、旱魃を背景に令和3年(2021)初頭から急騰していた。ピークは一昨年10月14日で、tあたり26万8,447円をつけていたものの、昨年に入って急落。昨年11月時点では下落にブレーキがかかったかのように見えたが、その後はジリ下げが続いている。2月22日の第11回入札(2月28日契約)で13万6,587円をつけたものの、急騰が始まる前、令和2年(2020)以前のtあたり10万円を下回る水準にはほど遠い。
一方、タイ産うるち精米長粒種はジリ上げの後、昨年9月まで比較的急騰していたが、その後は小幅の小幅の上げ下げを繰り返していた。1月26日の第9回入札(2月7日契約)で過去最高の更新にあたる10万4,253円をつけたものの、その後はジリ下げ、10万811円で落ち着いた。高位安定化の踊り場入りの可能性もありそう。
最終的にアメリカ産とタイ産の価格差は、tあたり3万5,776円。過去最少の更新にあたる。
MA一般米入札結果は、実施の都度公表になるものの、公表になるのは回ごとの加重平均落札価格であって、落札玉の顔ぶれが毎回変わる以上、指標とはなりにくい。ただ約2か月遅れで落札商社別の落札数量・落札金額が公表になるため、ここから産地国・種類別の加重平均落札価格を求めることが出来る。