㈱神明ホールディングス(兵庫県神戸市、藤尾益雄社長)、エア・ウォーター㈱(大阪府大阪市、豊田喜久夫会長CEO)、㈱ベジテック(神奈川県川崎市、遠矢康太郎社長CEO)、デリカフーズホールディングス㈱(東京都足立区、大﨑善保社長)の4社は3月28日、農産物流通をめぐる協業を明らかにした。同日、大阪市内のホテルで開いた合同会見で明らかにしたもの。4社協業により、青果物流通に限っては国内出荷量の7%にあたる90万t、売上高7,000億円、国内最大規模の連合体の誕生に繋がる。エア・ウォーターはすでに昨年2月、ベジテックに5%、デリカフーズHDに10%出資しており、この3社の協業体制に今回、神明HDが加わった恰好。エア・ウォーターが神明HDに出資(4.7%にあたる60万株の資本業務提携、3月22日付)、神明HDがベジテックに出資(5%にあたる26万6千株の資本業務提携、3月22日付)、神明HDがデリカフーズHDと業務提携契約を締結した(3月28日付)。出資価額はいずれも非公表。
エア・ウォーターは、産業ガス、医療、エネルギー、農業を4本柱に据える複合企業で、従業員数2万人強、年商1兆円超を誇る。青果物流通の分野で昨年2月20日、野菜加工・仲卸業者であるベジテック、業務用野菜・加工食品の製造販売業者であるデリカフーズHDとの間で3社協業を発表。ここに神明HDが加わることで、「3社の協業体制に青果物の荷受機能を装備し、青果物流通・加工プラットホームの強化に繋がることもさることながら、最大手の米穀卸に加わってもらうことで、今まで欠けていた穀物分野に協業が広がることが大きい」と語るのは、遠矢ベジテック社長だ。今回の4社協業を機に、4社の「運営委員会」委員長を務めているだけでなく、そもそも豊田エア・ウォーター会長と藤尾 神明HD社長を引き合わせた立役者でもある。「たまたまお二人を存じあげていて、個別に話を聞いていると、全く同じ考え方であることが分かったため」(遠矢ベジテック社長)。
そのめざすところは、流通だけでなく「生産に注力する。持続可能な農業を確立するのが目的。米もそうだし、野菜もそうだが、単体で食べていける職業ではない。大抵は両方やっている。『野菜を買ってくれるのはいいが、米も買ってくれないか』と言われて、今までは対応できなかったが、神明さんに加わっていただくことで、ほぼ農産物総体で対応することが可能になる」(遠矢ベジテック社長)。「このままでは米を作る人がいなくなると、この人(藤尾社長)に脅かされて(笑)、ほんなら一緒にやろうとなった」(豊田エア・ウォーター会長)。