「紅麹」をめぐる報道が喧しい。死亡事故も含め複数の健康被害が確認されていることから当然ではあるのだが、一方で未だ健康被害と紅麹との因果関係は明らかになっていない。事態を重く見た政府が3月27日午後、関係省庁連絡会議を開く運びだ。ここまでの動きをまとめた。
発端は3月22日、小林製薬㈱が紅麹原料を使った機能性表示食品(サプリメント)「紅麹コレステヘルプ」はじめ5アイテムの自主回収を発表したこと。このなかで同社は、自社製造している「紅麹原料の成分分析を行った結果、一部の紅麹原料に当社の意図しない成分が含まれている可能性が判明」したとしている。また、この原料を用いた商品の使用中止を呼びかけた。
紅麹とは米麹の一種で、米などの穀類に「紅麹菌」を混ぜて発酵させたもの。発酵により鮮やかな赤い色素が生まれることから、天然由来の食品着色料として広く用いられている。また近年は、血中の悪玉コレステロールを下げる効果が期待できる成分が紅麹に含まれていることから、健康食品の素材としても使われるようになってきた。ただ紅麹は、製造過程でカビ毒「シトリニン」を生成することがあり、EUでは規制対象に指定、スイスでは紅麹を成分とする食品の販売を禁止している。
ただし今回問題となった紅麹原料は「シトリニンを生成しない菌株」というのが、小林製薬の主張。したがって現時点で、健康被害の原因がシトリニンなのか、他の「意図しない」物質なのかは、明らかになっていない。また着色料や香料として用いられる紅麹は、問題となったサプリとは「異なる紅麹原料」と、これも小林製薬は説明している。
しかし、健康被害が次々に明らかになったのは事実で、厚生労働省の発表によると、3月26日までに、2人の死亡と106人の(腎疾患による)入院が確認されている。また同じく厚生労働省の発表によると、3月26日までに自主回収を発表した企業は、小林製薬から原料供給を受けた延べ35社に及ぶ。
また㈱ファンケル、越後製菓㈱、幸南食糧㈱、亀田製菓㈱、ケンミン食品㈱などは、「当社では報道されている紅麹原料を使用していない」との声明を発表している。
自主回収に至ったサプリのパッケージには「コメバイオ」「米発酵製法」などの文言が踊っていることから、紅麹だけでなく「米」への風評被害が懸念される。