◇ 調達価格、アメリカ産うる中粒が小幅続落、タイ産うる長粒は小幅反発

 アメリカ産うるち精米中粒種の調達価格(MA一般米入札における落札価格)が小幅に続落、またタイ産うるち精米長粒種は小幅に反発した。この結果、アメリカ産とタイ産の価格差は、コロナ禍前の〝居所〟を取り戻しつつある。
 農林水産省が3月1日、令和5年度(2023)第8回MA一般米入札の商社別契約結果を公表したもの。それによると、加重平均落札価格(tあたり)は以下の通り(カッコ内は落札商社名)。

〈第8回MA一般米入札〉(1月12日実施、1月22日契約分)
△アメリカ産うるち精米中粒種14万5,585円(伊藤忠商事㈱、木徳神糧㈱)
△タイ産うるち精米長粒種10万727円(伊藤忠商事㈱×3)
△タイ産もち精米長粒種11万8,214円(伊藤忠商事㈱)

 アメリカ産うるち精米中粒種は、旱魃を背景に令和3年(2021)初頭から急騰していた。ピークは一昨年10月14日で、tあたり26万8,447円をつけていたものの、昨年に入って急落。昨年11月時点では下落にブレーキがかかったかのように見えたが、その後はジリ下げが続いている。とはいえ急騰が始まる前、令和2年(2020)以前のtあたり10万円を下回る水準にはほど遠い。
 一方、タイ産うるち精米長粒種はジリ上げの後、昨年9月まで比較的急騰していたが、その後は小幅の小幅の上げ下げを繰り返していた。今回は上げの〝順番〟で、気づけば過去最高値(昨年9月のtあたり10万1,972円)にあと1,245円まで肉薄している。
 今回のアメリカ産とタイ産の価格差は、tあたり4万4,858円。ほぼコロナ禍前の価格差と同水準だが、あくまで相対的な話であって、今回のタイ産価格は、コロナ禍前のアメリカ産価格を上回っている。今回のアメリカ産価格はそれよりは〝上〟で、単純計算すれば60㎏8,735円、㎏146円にあたる。例えば加工原材料業界にとっては、用途が異なることもあって、国産の高騰を尻目に、「魅力的」に見えてしまうのは致し方ないところと言えそうだ。

 MA一般米入札結果は、実施の都度公表になるものの、公表になるのは回ごとの加重平均落札価格であって、落札玉の顔ぶれが毎回変わる以上、指標とはなりにくい。ただ約2か月遅れで落札商社別の落札数量・落札金額が公表になるため、ここから産地国・種類別の加重平均落札価格を求めることが出来る。